「水玉の履歴書」草間彌生


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「水玉の履歴書」草間彌生(集英社新書)

草間彌生の半生を振り返った著作です。水玉アートやかぼちゃのイメージが強いですが、その考え方に触れることでよりいっそう彼女のアートの本質が理解できます。

幼少期に幻覚を見るようになり精神科にも通っていました。ちょうどその頃。

「ある日、机の上の赤い花模様のテーブルクロスを見た後で、目を移すと、天井にも窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張りついていました。部屋中、体中が花模様で埋め尽くされてしまい、私は自己消滅してしまう気がしました。」

ということがありました。これはその後に続く彼女のアートを主体をなしていくことになります。

「見る人は作品の中にすっかり没入することで、日々の心配事から解き放たれます。これこそがアーティストからの最高の贈り物であり、草間が『自己消滅』というコンセプトで意味したことなのだと思います。」テートモダンのキュレーター フランシス・モリス談。

「草間のアートは心理的な抑圧からの自己の解放を願う行為でありながら、その願いが自己と世界の同時的な救済に昇華しているところに真の偉大さがあるという。」美術評論家 建畠哲談。

また彼女は言います。

 「自分にとって芸術の最大のテーマは生と死でした。・・・齢を重ねた今は、自分が後世の人にどのようなメッセージを残して死んでいけるかを、とても強く考えています。」

そして。

「どんな仕事に就いていようと、その人が今日よりも明日、明日よりも明後日と、自分の生命の輝きに一歩でも近づけたならば、虚飾と愚かさに満ちた社会のなかであっても、それは人間として生まれたことを示す、ひとつの立派な足跡となるのではないでしょうか。」

「肉体は、いつか生命が絶えるという自然界の定めによって死体となります。けれども、私が作った数々の作品は、全世界の人へのメッセージとなって残り、人格をもってひとり歩きを始めます。」

彼女の珠玉の言葉に出会える本です。




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by nichijou-raisan | 2018-07-28 23:01 | レバレッジリーディング | Comments(0)