「スノーピーク『好きなことだけ!』を仕事にする経営」山井 太

b0119493_22015855.jpg

「スノーピーク『好きなことだけ!』を仕事にする経営」山井 太(日経BP社)

アウトドアブランドで有名なスノーピークの社長である山井さんの著作です。自社の経営について語ったもので非常に濃い内容です。

年間30から60泊をキャンプで過ごす根っからのアウトドア好きな山井さんでこそのスノーピークであると認識できます。

スノーピークは「真北の方角」が会社の方向になります。そしてそれは、「ユーザーの笑顔」であるといいます。

現在会員数は10万人。こうしたファンをどう生み出すか、これは他社と圧倒的に差別化した製品、サービスの提供であると考えてます。

80年代に9800円のテントが一般的だった時代にスノーピークが販売したのは、16万8千円。これでも初年度に100張りも売れたそうです。

スノーピークウェイという顧客と社員が一緒にキャンプを楽しむイベントを開催していて、積極的にユーザーに関わっていく。また全員で楽しめるゲームをしたりと、顧客だけでなく社員も真の顧客は誰かを認識するのに役立っているといいます。

スノーピークの商品に保証書はありません。なぜなら永久保障だからです。こう宣言することで製品へのこだわり、徹底した品質を生み出せるのです。決して真似のできないことです。

新商品開発の判断時のポイントは「使った瞬間にユーザーの想像を超えた品質、使い勝手を感じていただけるかどうか」だと山井さんは言います。シンプルですが非常に高いハードルといえます。

顧客の満足を目指すため、販売も独自の方法が取られました。まずは問屋をはずし直接販売。これによりユーザーにできるだけ安く販売することができます。また販売は社員が行います。通常は商品だけ店頭においてそのお店の販売員が応対するわけですが、スノーピークはすべて社員さんが行います。これは商品説明も含めて顧客目線になっているかどうかだからです。ここまでの徹底ぶりには頭が下がります。

また社員には、毎日日報を書かせて、全員で共有。社長である山井さんも一人ひとりの日報を読みます。会社の成長は社員の成長だからだそうです。

キャンプ好きな山井さんは自然の中に身を置くことで、自然の時間を感じとり、経営者にもプラスになるといいます。そしてキャンプは最低でも二泊は必要と。これは自然のリズムに体がなじむには二日必要ということだからです。

山井さんは自身の仕事を「これから業績を伸ばすことにつながる仕事だけしていこう」と決め、具体的には「新しいことに取り組む」か、「既存のビジネスを伸ばす」かのどちらかで、新しいことに取り組むほうが自分に合っていると思ったそうです。

経営とは何か。

「常識の集積と創造」。卓越した常識あるいは原理原則を見抜く力と言う山井さん。

また、マネジメントの観点からスノーピークを表現するとすれば、「好きなことだけを仕事にする」経営、これは「好きな製品だけを作る」ブランドと言い換えることができるといいます。

世間一般の会社の多くが、思考軸がライバル会社に対してどうするかに基づいてではなく、「好きなことをしよう」という発想が感じられないケースが多く残念という山井さん。

非常にするどい指摘です。

「スノーピークの「武器」は、経営者である私、そして企業としてのスノーピークに3つの選択の自由があることだと思う。すなわち誰に対して、どんな製品を、どんな形で売るのかを決める自由だ。この3つの組み合わせをどうしていくかを考えることこそが経営者の仕事だ。」

事業を通じて人と自然をつなぐことを目指してきたスノーピーク。そのコアな価値は「人間性の回復」

山井さんは創業の父親の経営する時代に売り上げ5億、93年には25億まで延ばしたものの、99年には14億5千万に急減、そして現在は45億。まだまだ楽しみな会社です。


[PR]
by nichijou-raisan | 2018-05-27 22:00 | レバレッジリーディング | Comments(0)