2018年 03月 11日
MOA美術館(杉本博司)
熱海にあるMOA美術館です。以前より行きたかったのですが、今回実現しました。昨年世界的美術作家である杉本博司さんが展示の改修をされたということで注目してました。
美術館全景は石造になっていて重厚感が漂います。
ホールから見える相模湾。視界がさえぎられた中での海との対面です。建物及び基本構造部はもともとの設計で、実際杉本さんが携わったのは展示室内部となります。
ホールに飾られる杉本さんの作品。杉本さんの海のシリーズはモノトーンで非常に深みがあります。
最初の展示室は黄金の茶室。天正14年豊臣秀吉は御所内に組み立て式の黄金の茶室を持込み正親町天皇に茶を献じたと伝えられるそうです。MOA美術館では公家の日記などから復元した黄金の茶室が展示されています。
実際に金箔が使われていて、茶道具に至っては50kgの純金が使われているそうです。
見るからに絢爛豪華で内部に入ってみたいところです。
いよいよ杉本さんの設計された展示室です。伝統とモダンさが融合する空間です。エントランスアプローチは杉本さんのオリジナルの敷瓦が敷き詰められています。
展示の一番の目玉である尾形光琳作「紅白梅図屏風」です。俵屋宗達にあこがれ、その画風を継承していきました。一対の紅白梅は「風塵雷神図屏風」の二神の対峙を意識したものとされるそうです。
大胆な構図で非常にインパクトがあります。また梅の描き方も独特で五弁の花びらをひとまとまりに描き、花芯を描きくわえるという琳派の手法が見られます。
展示の床には美術品が置かれた時代の空間を感じるため、畳が使われています。
展示室の中央の黒い部屋は意図があります。
「私はMOA美術館にある数々の日本文化の至宝を、その最高の光りと場で見てみたいと思った。足利義政が慈照寺東求堂で見た光り、千利休が待庵で見た光り。そうした前近代の素材にこだわった。」杉本博司。
国宝「色絵藤花文茶壷」の特別室で、江戸黒と呼ばれる黒漆喰の壁で囲われた部屋で最高の光の中で見ることができます。
展示室内の二分する黒漆喰の壁。通常ガラスの反射で展示物が見えづらいことがありますが、すべて反射を消し去るためのしつらえになっています。
最初はなぜと思いましたが、非常に透明度が高くガラスを感じさせません。
階段部の意匠。ルーバー部分は杉角材を用いて光を和らげています。
仏教美術も充実しています。こちらは阿弥陀像。平安時代後期のもので奈良・安養寺に納められていたもの。
聖観音立像。奈良時代。
陶器を中心とした展示コーナー。谷口吉生の国立博物館法隆寺宝物館を思わせる展示です。
最後の展示室は杉本さんの海景シリーズ「熱海」。
杉本さんは写真家として有名ですが、写真家は記録ではない、といいます。そこに何を写しこむか。海景シリーズは太古の人々が見ていた時間を表現しています。
販売コーナー。こちらも選りすぐりの雑貨などが並びます。展示もセンスが行き届いてます。
続いてカフェコーナー。
カウンターの石材は神奈川県の真鶴で採石される小松石が使われています。
カフェからの眺め。この日は天気もよく最高です。
一旦外に出てムアスクエアに向かいます。ここからの眺めもすばらしい。
美術館全景。
ヘンリー・ムーアの作品。「王と王妃」何を語っているでしょうか。
MOA美術館カタログより
「私の中では最も古いものが、最も新しいものに変わるのだ。杉本博司」
ぜひこの空間を体感してください。
by nichijou-raisan
| 2018-03-11 10:48
| RICOH GRⅡ