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荒木経惟「往生写集」

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荒木経惟の往生写集。
先日トークショーで聞いたので、幾分なりともアラーキーの写真のことを理解して
写真展に行ってきました。

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場所は豊田市美術館です。
展示内容もよく中部圏ではベストです。

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アラーキーにとって写真とは人生そのもの。
往生の中に人生という意味が入っているといえます。

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「さっちんとマー坊」
 子供たちを撮影した作品ですが、見きれてたり、ピントがぼけていたりとスナップ
 らしい作品ですが、こうした中に子供の元気さや動きといったものを表現されて
 います。

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「男の顔面」「富山の女性」
 人生そのものが顔に現れているとして撮影した作品です。
 日本の成長に寄与した面々、そして家族を支えてきた女性の面々。
 単なる表情を超えて、ふとその人の人生について考えさせられました。

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「地下鉄」
 地下鉄車内の乗客を撮影した作品です。
 ほぼ隠しカメラのように撮影したため、こちらもおおざっぱな印象は否めないですが
 そこに現れた表情を見るにつけ、その時代を感じます。

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「空景」
 陽子さんが入院している時に病院の窓から見えた空を撮影したのが始まりだそうです。
 その空を見て、アラーキーが何を考えていたのか、それは単なる空ではなく、あの世
 であったのかもしれません。心象風景で見た風景はがらりと変わります。

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「センチメンタルな旅」
 新婚旅行を撮影した作品ですが、赤裸々に写された日常が描かれます。
 まさに私小説的な作品です。

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「道路」
 愛妻陽子さんが亡くなってから引越し先のマンションから眼下の道路を撮影した
 作品です。単なる日常的な光景ですが、そこに写し込まれた人のドラマを感じて
 しまうような作品です。日常こそドラマであり、作品と言っているのかもしれません。

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荒木経惟の言葉。

「写真を撮るというのは瞬間を止めることなの。
 アタシの言葉でいうと息を止めるというか、仮死状態にすること。

 それをプリントで見せる時に生き返らせるわけ。

 だから生と死や彼岸と此岸とか、
 この道を行ったり来たりして、よろよろしながら日記をつけるように撮っている感じだね。」

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作品全体から感じることは、生生しさであったり、息を感じるようであったりします。
写真家の捉えた、被写体の生命が、そこに写し込まれているからなのでしょう。

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美的にどうかとか、構図とかではなく、肉体的な写真の世界がそこにはあるように
思います。

#RICOH GRにて撮影
by nichijou-raisan | 2014-05-25 19:45 | RICOH GR