2012年 10月 13日
みちくさウォーク”滝呂の街”
今日は多治見を拠点とする陶都街並み探偵団で多治見市滝呂町をめぐる
「みちくさウォーク」に参加です。
やきものゆかりの街並みを散策しました。
滝呂区民会館を出発します。
笠原川沿いに点在するやきものの街です。
川の水もきれいです。
最初に訪問したのは陶器の形を作るための型を作る工場です。
陶器を作るためのスタートといっていいでしょうか。
これはマグカップの持ち手の部分。
一個一個作るのではなくこうした型で成型します。
石膏型が成型するための型ですが、これは石膏型を作るための型。
いわば型の型を製作しています。
やきもの業界は分業が進んでいるので型は型だけの工場が製作しています。
写真は圧力鋳込み用の型です。真ん中の穴の部分からすべての型に原料となる
泥漿(でいしょう)を流し込みます。
こんなかわいい形も。
石膏型は吸水します。
その吸水する力を利用して物によって数分から数十分で肉厚が付き、脱型します。
すると陶器の形ができあがります。
2件目の型を使って成型する工場です。
ちょうど流しこむ作業をしているところです。
がば鋳込みという表現をします。または流し込みとも言うそうです。
こうした作業は手作業も多く非常に手間がかかっていることが
わかりました。
ぱっと見て何に使われるものかわかりません。
聞いて見ると・・
実はランプでした。
コンセントに直接刺すタイプのもので陶器越しのやわらかい灯りです。
こちらはなにやら板状のものでやはり泥漿を流しこみます。
こうした型はだいたい100回くらいで水の吸いが悪くなったり、型が痩せて
形状が出せなくなるそうです。
さっきの型は時計です。
数字部分は型で浮き彫りのような形になっていて、時計ユニットをつけると
出来上がります。
「陶苑しばらく」さん。
滝呂焼きの歴史ある器が展示されています。
1階は販売されていますが、2階に上がると所狭しと江戸時代をはじめとする
器が展示されています。
江戸時代中期の鉄釉の行灯台です。
ろうそくの下に置く皿です。
鎌倉時代の山茶碗。
非常に味わいがあります。
江戸後期の染付広東碗。
こちらも型を使って成型する工場です。
写真は泥漿を一定時間流しこんだ後、中の余分な泥漿を出しているところです。
商品によっては重量が非常に厳しい場合は、この時間の管理が経験含め非常に
熟練を要します。
こうしてみると物づくりの現場を見ると見る目が変わります。
脱型したものを次の焼成する工場へ出すための最後の工程です。
布に水を含ませて鋳込み時の跡を消したり、バリ(型の型の継ぎ目のはみ出した部分)
を取る作業をしたら、箱に詰めて移動します。
圧力鋳込み機です。
下から泥漿を一気に注入します。
途中立ち寄った滝呂観音堂のお地蔵さん。
こちらは焼成する工場です。
いろんなサイズを台車に組みます。
窯はガスのシャトルキルンというもので台車一つが入るタイプです。
酸化焼成で1200度、還元焼成で1300度くらいの焼成温度です。
急須の蓋が入るところには使い捨てのカップ状の器を入れて焼き上げた時
にひずみが出ないようにするそうです。
自然が多くなんとなくほっとする街です。
コスモスもきれい。
これは元は陶器の工場でしたが廃業後にこれから陶芸を目指す人に
レンタルするための工房としてリニューアルしたものです。
窯も大中小で4台ほど設置されています。
こうした場所が安く借りられれば、若手作家育成も進みます。
やはり若い人を育てる環境が大切です。
製作途中の作品です。
やきもの業界はやはり中国製のものに押されていて生産縮小を余儀なくされる
時代です。陶器工場のリユースは街の文化を継承する新しい試みです。
モノづくりの場をもっと活性化する方法が求められているのではと思います。
工場は広いのでオーナーさんはまだまだレンタルスペースを作りたいという
ことでした。陶器の文化を継承し、そして新しい世代がまた後世に繋げていく
そんな場を大切にしていかなければならないと感じました。
議員をされている今回の案内役の方ももっともっと活性化する方法を探って
いきたいという熱い思いを語っていただきました。
非常に学び多き時間で感謝です。
by nichijou-raisan
| 2012-10-13 21:20
| K-5