2016年 05月 02日
豊田市美術館「デトロイト美術館展」
1995年に開館し20年目の2015年に改修工事を終えた豊田市美術館です。
バリアフリーや外装部分がリニューアルしました。
建築設計は谷口吉生、ランドスケープはピーター・ウォーカーの傑作といえます。
中部圏では一番好きな美術館です。
今年のゴールデンウィークは美術館前庭を使ったミュージアムグリーンマーケットが
開催されています。
衣食住をテーマとした小さなショップが緑の中にオープンしています。
小屋のデザインも見ていて楽しい。
簡易的なものから、建築に近いものまでさまざま。
最近は昔でいう青空市場的なイベントが多いのですが、その土地にちなんだ
切り口で開催されれば、非常に楽しいです。
美術館であれば工芸や手作りの商品、デザイン性の高い雑貨など。
こうしてみるともっとビジネスの展開の余地はあるんだとつくづく思います。
もっと流動的でしかも土着的なもの。
交流から生み出される新しい価値。
今回開催の展示会に合わせて豊田市内の飲食店にチケット半券を持っていくと
割引サービス等が受けられるというものがありますが、これもまた美術館から
市内観光へのきっかけとなります。
観光資源もそれだけで終わらせないでリンクしていくことが大切だと思います。
今回開催中の「デトロイト美術館展」、アメリカ デトロイト市は豊田市と姉妹都市に
なっています。両市とも自動車産業のメッカということからなっているようです。
白さがよみがえった乳白色のガラスウォール。
谷口建築は光の演出に優れるところが特徴です。
形態、素材が光りによってその空間が増殖していくのです。
ダニエル・ビュレンの作品。鏡のウォールがいくつも立っていますが、色と景色が
幾重にも重なります。
自然とアートと戯れます。
一階通路。
ジョゼフ・コスースの作品。
哲学者や思想家の名前が書かれてあるそうです。
モダン建築らしいデザイン。
階段上部から入っていくる光がまた印象的に見えます。
照明ですべてを照らすのではなく自然光を活用した柔らかな空間がなんとも
日本的なものを感じます。
ガラスは近代建築材料ですが、空間に連続性を与え、しかも保護し、空間を
重層させることができ、日本的な空間表現も可能だと思います。
谷口建築はすべてにおいて研ぎ澄まされた建築家の感性を感じることができます。
ディテールを眺めて歩くのもまた楽しい。
合わせて開催中の「山本富章」展。
壁面に取り付けられた14000個の洗濯バサミのバーツ。
実はその表面にすべてドットが描かれてます。
洗濯バサミでつくられた巨大な筒。
洗濯バサミを分解して集められたバネ。
大好きなミュージアムショップ。
書籍類が充実しているのでおすすめです。
本についてはアート系、から建築までありますが、厳選された目利き感を感じる
のでどれも読んでみたい本ばかり。
このショップの隣には無料で使えるライブラリーもあるので芸術書を見たい方に
はおすすめです。
ちょうどあやめが見ごろでした。
上段の池には豊田市にちなんで田んぼをモチーフにしています。
風景としての建築。トータルバランスの高い美術館です。
by nichijou-raisan
| 2016-05-02 01:59
| RICOH GRⅡ